私は一度だけカメラを水没させたことがある。
それは大瀬崎の先端を知合いと一緒に潜っている時だった。賑やかな夏が終り、木々が赤く染まりかけた秋の入り口の頃、誰よりも先にエキジットして体からポタポタ滴り落ちる海水をいつまでもぼーっと眺めていた。
私は器材のメンテには割と大雑把な方である。大雑把といっても使用した後はちゃんと塩抜きをして日陰干しをする最低限のことはやっている。自宅のユニットバスに水を溜めるのは器材を洗う時ぐらいかもしれないが、それでもライセンスを取得する時に教わった手順に従ったメンテは行っているつもりではある。「大雑把」それがO型な私のメンテナンスの極意なのだ。
そんなのは自慢にも何にもならないのは重々承知の上なのだが、カメラ機材のメンテナンスについても割と大雑把だったかもしれない。使用後は塩抜きをして、各ボタン類もきれいに洗い流す。使用前はOリングを外してグリスを塗ったりもする。しかし、今にして思えばこれらがすべて大雑把だったのだ。それがあの悲劇を呼び起こしたのだろう。あの忘れもしない忌まわしい1ダイブ・・・。
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