No.3 蚊[2004/06]

私は蚊が大嫌いだ。あの「プーン」という羽音を思い出しただけでも背筋がゾッとする。
どのぐらい蚊が嫌いかというと、世界中の膨大な数の蚊を5m四方の透明な箱に(なんらかの方法で)おびき寄せ、その中に蚊取り線香を1個放り込んで全員が苦しんで死んでいく様をつぶさに観察できたらさぞ楽しいだろうなぁ、と小学生の頃から考えている程である。誰か「なんらかの方法」を発明してくれないかな。

敵(蚊)は人間が寝ている時に奇襲攻撃をかけてくることが多い。ゲリラのようである。皮膚から排出される二酸化炭素を目標にしているといわれるので、むしろ明るいよりも暗い方が活発だと思えるぐらいだ。耳障りな「プーン」という羽音はどんなに深夜であっても、どんなに眠くても私の戦闘モードのスイッチをオンにする。
臨戦体勢に入った私は布団にから顔だけを出し、すぐにスイッチが入れられる状態で電気を消して眠ったフリをする。そして目を閉じて五感を研ぎ澄まし、普段なら考えられないほどの集中力で油断して近づいた奴等の行方を追う。そして任務をコンプリートするまでは絶対に再び眠りにつくことはない。まさに剣の達人かニュータイプの心境である。アムロ・レイが蚊に悩まされていたかどうかは知りませんが。

思えば人間にここまで積極的に戦いを挑んでくる昆虫は蚊ぐらいではないだろうか。蚊の身長が1cmとして私が約170cmだから、170倍の大きさだ。人間で例えるなら1.7m×170倍=289m。人間がランドマークタワーに挑むようなものだ。あんな小さい生き物のくせに死を恐れず人間をここまで不快にさせるとは、敵ながら天晴れである。そもそも、蚊が人間の血を吸うのは食糧ととしてではなく卵を産む為だ。つまり血を吸いに来る蚊はメスだけということである。結果的には自分の為になるのだろうけど、直接の要望は己の腹を満たす為ではない。そう考えると生きる為に、いや種を残す為に奴等も大変なんだなぁと(ちょっとだけ)同情しなくもない。しかも「プーン」という羽音はメスにしか発生しないそうだ。また、刺した後に痒くならなければここまで人間から嫌われることも無かったと思う。これらはきっと神様が「蚊」という種に課せた宿命なのだろう。

もし可能であれば蚊と契約でも取り交わしたい。例えば小皿に「血」または「血の代替品」を盛って部屋の隅に置いておくので、人間にはいっさい手を出さないで欲しい。その代わり殺しもしない。お互いに有意義な内容だと思う。種の繁栄と安眠を願って。どう?


  _, ,_∩))   プーン
(*`д´)彡 ・〜
  ⊂彡

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